F.シュトラウス：ノクターン
Franz STRAUß：Nocturno Op.7

-C.ウィギンズ：5つのミニアチュア
Christopher WIGGINS：Five Miniatures Op.85

-G.P.テレマン：協奏曲第２番　ヘ長調
Georg Philipp TELEMANN : Konzert Nr.2 F-dur　arr. Michael HÖTZEL

　同族楽器による特殊な編成で、ピッコロ・トランペットからコルネット、フリューゲル・ホルンまで、様々な楽器を駆使し、じっくり聴かせるものから超絶技巧まで、色彩豊かなアンサンブルを展開している。

　バイエルン国立歌劇場管弦楽団（かの、カルロス・クライバーのもとでも吹いていた！）を経て、現在NHK交響楽団首席奏者として活躍する傍ら、東京芸大でも教鞭をとる、屈指のホルン奏者、松崎裕の待望の2ndアルバム。彼ならではのスケールの大きさと、トーンの美しさは、他に類を見ないと言っても過言ではありません。得に、1曲目『アダージョとアレグロ』の美しさには、心を打たれます。

　前作『猫』が大好評を博してはや2年…さらに磨きがかかったザ・フルート・カルテットの新作は、要望が多いオリジナル曲3曲に、オーケストラの名曲を加えた、期待膨らむプログラム。百戦錬磨のオーケストラ・トップ奏者（N響首席、東響首席、他）ならではのサウンドは、驚くほどクリアーかつ緻密で、高い完成度を追求するアンサンブルは、大変楽しめます。

　ここに聴く工藤重典の演奏ほど、作品は名演奏家を得て新しい生命を与えられ生き返る、そんな実感に浸らせる例もないだろう。演奏家の中に蓄積された内なる心と技とでとらえられた作品は、まさに湧き出るような初々しい生命力をたたえながら、最高の喜びの調べを奏でていく。
（諸石幸生）

　思えば同じ管楽器でも、ドン・ホセからプッチーニのヒロインまで演じ分けることができるのは、音域とキャラクターの幅広さからしてファゴットの役得みたいなものだ（クラリネットなら妖艶な女性に化けられても、軍服を着た男の泣き節は少し似合わない！）。そしてブラームスやシューマンのリートを、歌詞のニュアンスまで噛み砕くようにして再現するのは、ドイツで学んだ彼にとって意義深いチャレンジでもあろう。（木幡一誠）

　実力、存在感ともにNo.1の若手トランペット奏者、高橋敦待望のソロ・デビューアルバム。第65回日本音楽コンクール・トランペット部門第1位。同年、第13回日本管打楽器コンクール・トランペット部門第1位。1999年、東京都交響楽団首席トランペット奏者に就任し現在に至る。

　なんと贅沢な！と嘆声のひとつもあがろう。ベテランの域に達したオーケストラ・プレーヤーから若手・中堅を代表する奏者が一同に介して、多岐に渡る素材を料理。それもバス・クラリネットやバセット・ホルンなどの持替楽器を、それぞれを得意とする首席奏者クラスの人間が手にしているのだ。流行り言葉を使えば、セレブなアンサンブルとでもいおうか。
（木幡一誠●ライナー・ノーツより）